お客様の声

無期限育休の申し出を快諾する理由

弊社の井上さん(2013年入社)が現在、無期限育休中です。社員数名の会社にとって、育休取得はもちろん、それを無期限で、承諾する判断は、現実問題として容易ではありません。他方、社名は小川の家から子育ての家に変更しました。20数年前から子育て優先の家づくりを掲げて、事業をやり続けているわけですが、究極的な目標=ビジョンとしては、子育て優先社会の実現に至っています。結局、家づくりの目的が子育てのためになったのも、標準的な住環境が子育て優先ではないから。働く場においても、子育てを優先するような雇用・労働環境になっていくことも大事だよな、という理屈です。経営者が社員をどう働かせるかという問題があり、それは形だけの制度の有無の問題と実際にどうなのか、という実態の問題があり、働く人とその家族にとっては、実態がどうなのかが問題です。

井上さんが1年間の育休を終えた頃、保育園の待機児童なのか記憶は定かではありませんが、会社が署名すべき必要書類を持って、挨拶に来てくれました。

彼女からもう少し子どもと一緒に過ごしたい、と。

だよね、

じゃあ、無期限育休ということにしようか、と。

そうしてもらえるとありがたいです。

勇人さん(※社員は私のことを社長と呼ばず、勇人さんと呼ぶ)は、そういうと思っていました。

まあねえ。

さて、どうするか。

いつ復職するかわからない、二人目を授かるとその時期はさらにいつになるかわからない。3年後、5年後にやっぱり退職します、となるかもしれない。それでも私は無期限育休を快諾する。なぜなら、子供を産み育てやすい社会にすることが使命だから。

経営的には当然しんどい。相当しんどい。業務のやりくりをどうするか。

私はこれは成長の機会だと捉えています。今までのやり方を根本から変えるチャンスだし、働いてくれる人の前提が変わったわけだから、やり方も変えるのが理にかなっている。

会社としての成長というのもあるけれど、私自身が試される。成長の機会。

無期限育休を社会が、組織が寛容し、それに対応できる仕組みをつくれたら、世の中、ぐっとハッピーになる。それが大企業ではなく、当社のような豆粒の小さな会社で可能であれば、それより大きな組織はほぼ可能になる。少なくとも組織の規模で無期限育休の可否が決まるわけではないことは証明できる。

彼女が復職した時、やってもらう仕事は何か?わからない。ただ、彼女はものすごい経験を経て復職してくれるわけだから、これまでとは違う次元の人間になっている。その彼女に適した仕事があるはず。

彼女に伝えるのは、復職はいつでもいいけど、復職しなくてもいいけど、それに条件はつけないけれど、会社が存続していないかもしれないし、僕が死んでるかもしれないし、僕はもう経営者ではなくなっているかもしれないから、まあ、その時は、その時で!

で、世の中不思議なもので、無期限育休中の彼女が通っていた子育て支援センターにて、傍らで、無期限育休の話を小耳に挟んだ母親が、子育ての家に興味を持ち、検索して、当社を知り、そして家づくりを依頼してくださって、4月には着工するというご縁。

神様はよく見ているなあと思いました。

損得勘定で無期限育休を快諾したわけではなく、子どもと過ごしたい、落ち着いたら会社に戻りたい、という至極まっとうな願望を、幸福な人生につながる願望を叶えるために、快諾するのは、正しいことだと信じていたし、それは一つの「徳」だと判断した。

子育て優先を掲げる子育ての家という会社とその経営者が、子育てを優先したいという従業員の願望に応えられないようであれば、ダサい。看板下ろしなさい、です。理にも情にもかなわない。

さて、どこまでやれるか。

社会にとって本当に必要な会社であれば、無期限育休程度で事業存続が困難になるようなことはあり得ない。ただ、簡単ではないし、ボディーブローのように効いてくるのは事実。それを乗り越えて進歩、進化させる手段がイノベーション。困ると成長する^^

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私が書いています

代表取締役 小川勇人(おがわはやと)

代表取締役 小川勇人おがわはやと

1973年長崎の小さな工務店の長男として生まれる。2000年頃、シックハウス症候群と様々な社会問題が子育ての住環境に起因していることに気づく。以降、子育てを優先した家づくりに徹する。日経ビジネス誌にて「顧客の人生を助ける善い会社」として紹介(2015),著書「暮らしは変えられる」(2008)#妻と二男一女#ウルトラマラソン#登山#MBA(長大大学院,2014)#熊大工学部(1996)#長崎東#福大非常勤講師

暮らしは変えられる 「子育て優先」という選択 小川 勇人  (著) 小川 勇人のFacebook
子育ては、小川の家。