苦しみの原因は煩悩にある
仕事部屋の書棚の図鑑が目に止まって、ページを開く。
「なるほどなあ」と読むわけですが、線を引いた形跡が多々ある。
記憶にない。
でも、その時、その時の点と点が自身の思考や判断基準になっている。これとこれが直接つながる、というようなものではない。そして、毎日眺めている書棚の中の一冊を、ふと今日、手に取り、パラパラとめくる。そしてまた、なるほど、と唸る。
再読して、当時、私が線を引いた時とは比べ物にならないほど、わかるようになっている。
ただ生きているわけではなく、生き生きと生きて、経験を積んだからこそ、わかる。
苦しみの原因が何かを私たちのほとんどは知らない。苦しみの対象は何かは自覚しても、そもそも苦しみとは何か、どこから生まれるのか、なぜ生まれるのか、知らない。
世の中には「苦しんでいる」人がたくさんいる。そして、対処法をなんとかしようとしている。相談窓口はその一つである。
他方、子供達にも大人にも「苦しんでいる」人に対して、その対処法を教えるよりも、そもそも苦しみとは何か、その原因をまず教えて学んだ方が良いのではないか。
私はあまり苦しみがない(少ない)部類の人間で、いわゆる、能天気で、めでたいわけだけど、世捨て人ではない。
日々、ビジネス、経営、家づくりの最前線で、たくさんの苦しみがやってくる。他方、それは結局、煩悩に過ぎないのではないか、という達観もある。だから、苦しみはあっても所詮〇〇じゃん、と別の次元で俯瞰している自分がいる。
家づくりもビジネスも煩悩の塊にすぎない。
その煩悩の塊の総攻撃に対して、その煩悩(要望、ニーズ)に応える(かなえる)ことではなく、煩悩を減らすことを信条にして、ビジネスの仕組みを作っている。働き方も同様。
おかげさまで、私は幸せな人生を歩んでいる。苦しみも少ない。それはなぜかというと、煩悩を減らすことを習慣にしているから。
あれもこれもといって、視覚化、数値化、物質化できるものを、要望という名で、足し算している間に、大切なものが失われていく。それは幸せな人生を過ごすという、最も大切なものを失っているのだ。
世の中を見渡すと、煩悩の塊でしかない家づくりが溢れている。それはリフォームもまちづくりも同様。そんなに足し算ばかりして、どこへ行きたいのか。喜びは増しているのだろうか。もっと〜したかった、もっと〜しておけばよかった、と一度得た満足もすぐに不満、不十分になっていくこと間違いなし。
煩悩を意識すると少しは減らせる。
堂々巡って、進展しない時、その原因は、自身の煩悩です。
2025.01.27