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売れる家=幸せに暮らせる家ではない

「売れる家と幸せに暮らせる家」

「(子育ての家は)他と何が違うのですか?」とよく質問されます。

「(理想はいらないから)売れる家を売ればいいじゃん!」と言われることも多いです。

私が売っているのは、幸せに暮らせる家、つまり、「心豊かで健康な暮らし」であり、「子どもがのびのび健康に育つ日常」であり、「お金に困らない」ことであり、「家族が笑顔で暮らせること」であり、それが幸せな人生だという価値観であり、「家(モノ)」を売っているわけではないのです。単に、住む人が心身の健康を害する家はつくらない、環境を破壊しない、皆ハッピー(職人さんをはじめ、誰も搾取しない)、それにこだわっているだけです。

それがわかるというか、直観的に「そういうことか!」って分かってくださっている方が当社のお客様です。夫婦の間でも「ああそういうことね」と、腹落ちするまでに温度差や時間差、時差があるにしても「ああ(大筋で)そういうことか。」と。実際に、住んでいるうちに「そういうことだったのね」と腹落ちしていくこともあります。

売れる家。

分かりやすいのは「平屋」です。少し前はオール電化、高気密高断熱、外断熱、長期優良住宅、省エネ住宅、スマートハウス、エコハウスなどです。

その商品やコンセプトが悪いということではなく、その機能や形状のことを話しているだけで、肝心の実際に暮らしてみて、どんな暮らしが待っているのかについては何も語っていません。

例えば「断熱性能が高いです」という機能をウリにしているのであり、それが幸せに暮らせるかということとイコールではありません。家族の幸せは断熱性能に比例するわけではありません。

家は、子育てを幸せにしますし、不幸にもします。家は、家族を幸せにもするし不幸にもする。

例えば、食は人を健康にもするし、不健康にもするし、病気にもする。病気になるとわかっている物を売りたくないから、売らない。わかった時点で。それを商売が下手だと言われれば、そりゃそうですねと。

商売がうまくいくかどうかよりも、自分の倫理観と価値観に基づいて、真っ当に生きることが大事です。商売がうまくいくかどうかは稼ぎの程度の問題に過ぎないからです。自分の人生を生きることが一番大事であって、商売がうまくいくかどうかは2の次、3の次です。

うまくいく商売だって、何十年も何百年も同じ商売がうまくいくわけないわけですから。世の中どんどん変わっていくから、商売はうまくいっている時もあれば、うまくいかなくなる時もある。

だけど人として、どう生きるかということの方がよっぽど大事なので、自分の人生を大事にする。「売れない家を売っているのですか?」と言われても、幸せに暮らせる家を、子育てにいい家を売っているのであって、売れる家を売っているわけではない。現実には、幸せに暮らせる家がバンバン売れるわけではない。なぜかはわからない。売れる家が幸せに暮らせる家だと考えている経営者の方が圧倒的に多いからでしょう。

平屋できますか?いくらですか?1000万円で作れますか?という質問がありますが、それは1000万でできる物(小屋)ができるのであって、幸せに暮らせる家が1000万円で出来るわけではないのです。

家を1000万で建てた消費者、あるいは格安の建売住宅を購入した方が、引っ越してから、体調が悪くなったとか、使いにくいとか、陽が入らないとか、クレームが出るかもしれないですが、それはそもそも健康な暮らしを求めて家を購入したわけではなく、1000万円の家を購入したわけです。健康に暮らせるはずの家を購入して、シックハウスだったとしたらそれはなぜそうなったのか、販売元に原因があるかもしれません。でも、1000万円の家を買って、格安の建売や中古住宅を購入して、体調が悪くなっても、それは必然です。

マンションの場合、駅から5分のマンションを買っているので、駅から5分は手に入ります。だけどそれが幸せな暮らしなのかというと、個人の価値観の違いになります。駅から5分のマンションで暮らすと幸せになれると判断して購入する方もいらっしゃるかもしれない。幸せに暮らすためには駅から徒歩10分県内と判断する人もいる。それぞれですね。良し悪しではない。

アパートに住んでいます、便利です。それはそうでしょうね。便利なところに住むことを重視したわけですから。それでお子様は?と聞くと、喘息で、アトピーです、と。静かにしなさいと、叱りまくっています。それはハッピーですか?と。

少なくとも子供にとっては迷惑な話です。切実な困りごとです。生まれた時からキャンキャン何かにつけて叱られるわけですから。それは楽しくないですね。

幼き頃、人格が形成される時に、ずっと叱られまくって生きてきてどんな人格になるのだろうと想像してみてはどうでしょうか。静かにしなさいと叱られているのが、教育なのか躾なのか。ただ住居の問題なのか。飛行機の中でのそれとは違います。

社会の中で生きていくわけですから、なにがしかの配慮は当然どこでも付いてまわります。ただ、できればしょうもないことでしかるのも嫌だし、叱られる方も嫌です。子育てが苦痛になる。

だから僕は幸せに暮らせることを常に第一に考える。働くことも同様です。幸せな人生のために働いているわけであって、働いていることそのものの中身が幸せな人生にならないのであれば、それは働き方を変えなければいけないし、中身を変えなければいけない。

例えば、社員がお客様からこんなこと言われるぐらいだったら、こういう働かせ方したらいけないな、だったらどうしたらいいのかな?

ハードワークが問題ではなくて、人間として尊重されるとか、人格が尊重されるとか、人権が尊重されるとか、そういう根幹を大切にしていく、もしくは大切にされないようなことがあるのであれば、そういうことはそうならないようにする。

いずれにしても売れる家と幸せに暮らせる家は違います。と言うことです。だからあれが欲しい、これが欲しいと言うのは、誰かが言っているからそれが欲しくなるのか、自分が心からそう思って欲しくなるのかの違いです。

幸せに暮らしたいというのは人間の根幹の願望、究極目的ですから、それは何十年も変わらない。何百年、何千年と変わらないものです。人間ですから。

でも売れるかどうかは、常に変化していきます。売れる家が幸せに暮らせる家という訳ではないと言うことを覚えておいてください。ファッションや家電なら、今売れる、がよいのですが、家って、うん十年も毎日、生命も財産も預けちゃいますし、まさに人生の拠点になるので、売れさえすればいい、というわけには、つくり手である私としては、そういうわけにはいかないのです。その判断が、客の言うことを聞かないとか、横柄だとか言われると、まあ、そうですねえ、仕方がないですねえ、他社様に(苦笑)

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私が書いています

代表取締役 小川勇人(おがわはやと)

代表取締役 小川勇人おがわはやと

1973年長崎の小さな工務店の長男として生まれる。2000年頃、シックハウス症候群と様々な社会問題が子育ての住環境に起因していることに気づく。以降、子育てを優先した家づくりに徹する。日経ビジネス誌にて「顧客の人生を助ける善い会社」として紹介(2015),著書「暮らしは変えられる」(2008)#妻と二男一女#ウルトラマラソン#登山#MBA(長大大学院,2014)#熊大工学部(1996)#長崎東#福大非常勤講師

暮らしは変えられる 「子育て優先」という選択 小川 勇人  (著) 小川 勇人のFacebook
子育ては、小川の家。