検討期間に失うものはなにか
検討すればするほど、メリットが得られるように感じるけれど、他方、かけがえのないものを失っていることに気づかない場合は多い。それは時間。
相談者の中には、家づくりを検討し始めて、半年、1年、中には3年、5年という家族もいる。検討期間が長いからといって、家づくり、マイホーム購入の基礎や土台部分が固まっているかというと、そんなことはない。ほとんどの場合、ただ同じところをぐるぐる回っているだけである。あっちを見にいった、こっちを見にいった。きちんとした資金計画を立てたこともなければ、そもそも賃貸か持ち家か、夫婦できちんと真剣に話し合ったこともない場合が多い。要するに、検討中というけれど、何を検討しているのだろうか、と。
住宅会社から取り寄せた資料が増えていったところで、自分たちがより豊かで幸せな人生になるわけではない。資料は所詮資料である。実際には、何も生まない。何も提供してくれない。問題は1ミリも解決しないし、家づくりは1mmも前進しない。願望実現の可能性が低くなるだけである。
検討は必要不可欠。判断するためには検討しなければ判断できないから。問題は、いつまで検討するのか。どれだけの時間を費やすのか。どこまで検討するのか。検討作業には際限がない。どこまでもいつまでも検討できる。つまりそれを先送りという。決断しない(できない)という。
自分の財布の中の1万円札を捨てる人はいないけれど、自分の1日を安易に捨てる人はたくさんいる。お金には価値があるけれど、時間には価値がないと思っている。だけど、死を間際にすると、時間がいちばん大切だということは誰でもわかる。人は必ず死ぬし、いつ死ぬかわからないわけだから、生きているということは常に死の間際にいるということになる。だけど、明日死ぬかもしれないと思って、今日という1日をどう生きるかと考えて使う人は少ない。
子どもの時間をどう考えるか。子どもの3ヶ月、半年、1年の時間の価値をどう考えているのか。
子どもは日々、成長する。どこでどんな環境で成長していくのか。住環境は人格と感受性を形成します。
検討中のあなたへ。いつまで検討しますか?
結婚してすでに何年の月日が経過しましたか?
3年?5年?10年?
子どもの時間と合わせて、住宅ローンの返済期間も短くなっていきます。検討すればするほど失うものは何かも合わせて、検討してください。
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