債務整理をした人がマイホームを購入することは可能か否か
過払金請求など、債務整理が簡単にできるようになってここ数年、家づくりの相談者の中に、債務整理をした、という方の割合が増えてきました。加えて、クレジットやフリーローン、リボ払い、車の購入でも残価設定型のローンなど、安易な少額の借入が重なり、返済できず、延滞遅延(いわゆるブラックリスト)となり、クレジットカードすら作れない、という人も増えています。
債務整理をした人がマイホームを購入することができるかな否か。
マイホーム購入が可能かどうかについては、要件が二つあります。
一つは、購入したい物件の費用を準備できるかどうか。
もう一つは、反社会的勢力ではないか。
前者について、物件の価格にかかわらず、現金を準備できれば購入できます。1000万円の中古住宅で1000万円貯金すれば買えます。
問題は、住宅ローンを借りる必要がある場合、可能かどうか。
債務整理といっても、そのような形なのか、ケースバイケースですから、単純に、延滞遅延して、債務整理して、合意した新たな借金と返済条件を守って、完済してから、何年後に、信用が回復するか、です。
例えば、完済から5年、とありますが、これが自分のケースで本当に該当するかどうかは、わかりません。その時点での勤務先、勤続年数、年収も考慮されるからです。
実現可能性という意味では、夫婦ともに債務整理だと、これはもう、貯金するしかないですよね。
夫婦どちらかが債務整理の場合、債務整理をしていない方が住宅ローンを組む。夫が債務整理で、妻がパートであるならば、妻は正社員を探して、年収300万円以上になるように働く。夫は妻の家事育児をカバーすべく、仕事を減らす。
夫婦共働きで正社員、夫が債務整理(またはブラックリスト)の場合、妻のみの借入で実現可能なものを購入する。夫婦の世帯収入から考えると、もっと高額なもの、となるが、それは過去の債務の問題がなければ購入できるわけで、その原因を作ったのは自分自身だから、それはやはり、購入可能ではない。
なので、夫がブラックリストから除外される、信用を回復するまで、5年から10年後まで、今のままで暮らすか、もしくは、妻の借入限度額で購入して、夫の信用が回復した時点で、買い替え(住み替え)をする。
時間は有限で命も有限で経済力も有限。
一度失った信用を回復するにはその何倍もの時間と労力を要します。何より、信用が回復するかどうかは保証がない。なぜならまた同じ轍を踏むかもしれないから。
何れにしても、債務整理は終わった話です。延滞遅延も過去のことです。過去により、未来の選択肢に制約が生じるわけですが、債務整理があろうがなかろうが、経済力に見合ったものしか買えないわけですし、気に入らないことは飲み込まないといけないです。年収300万円の人は、年収500万円の人と同じものは買えないですし、年収500万円の人は、年収1000万円の人と同じ暮らしはできません。そもそも借金の延滞遅延や債務整理の本質的な原因とは、自らの経済力に見合わない消費や振る舞いの結果ですから。
年間100万円、毎月8万円、必死に貯金して、30年後に、3000万円です。
夫30歳で、子どもが1歳とすると、30年後は、夫60歳、子どもは31歳。子育てはずいぶん前に終わっています。かけがえのない30年間の日常はどんな気持ちでどんな環境で過ごすのでしょうか。
年間150万円、貯金を毎月11万円でも20年で3000万円です。
4000万円となると、毎月15万円貯金して20年以上かかります。
きちんと現実に向き合う人は、賢明な判断をしますし、向き合いたくない人は、非現実的な計画を描きます。
もちろん、格安の物件に引っ越す、広さでいえば、戸建ての借家に引っ越す、という方法もあります。とはいえ、それは本質的な解決にはなりません。格安の物件に引っ越す人は、債務整理する前に引っ越す。格安の物件で暮らしの質が高まることはあり得ませんので、暮らしの質を落として、頑張って貯金に励む、といっても、その根性論も流石に20年、30年は、無理です。そんな我慢をするぐらいなら、妻の借入の範囲で購入して、次に備える方が前向きです。
結局、子育ての環境に展望、明るい未来が描けなくなると、ストレスは増え、蓄積されるし、結婚当初は、子どもが小さい時は、それでも仲良くできたとしても、5年、10年はもたないですよね。お互い債務整理であれば、諦めもつくので、特に問題にはならないわけですが。
私は実現請負人。問題を解決して、願望を叶えるのが仕事です。
事実を掴んで、事実に基づいて説明し、打開策を提示します。目的は、明るい未来のためであり、子どもが笑顔でのびのび健康に生きられるためです。
債務整理をしたということは、経済的に計算して、まったく見通しが立たないと判断したからだと思います。それができたということは、住まいの問題に関しても、同様に、現実を直視して、受け入れることができると信じています。
親の借金の問題を、子どもの日常や未来に背負わせてはいけない。