土地探しの注意点〜売地は宅地ではない〜
自分で土地を探す場合の方法は主に3つ
1)ネット検索(不動産情報サイト)
2)地元の不動産業者に出向く
3)希望エリアをウロウロ(空き地の看板)
「売地」1000万円と広告してあると、素人なので、あとは建物代を足せば、家が建つ、と判断します。
ところが、実際には、この売地という表現が曲者なのです。
「分譲住宅地」であれば「個人住宅の建築を目的として整備された土地」なので、あとは建物代で済む場合がほとんどです。要するに、宅地として商品化されているわけです。
一方で「売地」というのは、まさに、土地(現状)を売っているという意味であり、その品質が上記の「分譲住宅地」と同じかというと、そんなことはありません。中には、建築できない土地もあります。
ところが、素人考えでは「売地」と書いてあると、土地の見た目は同じだから、どちらも家が建てられる、と判断するわけです。不動産会社の人からも「家は立てられますよ」と説明を受けるから。
でも、実際には、問題が二つ生じます。一つは、「家を建てるために」必要な許認可、上下水道などのインフラ整備が別途必要であること。つまり、時間と、そして土地代とは別に、宅地にするための費用がかかるわけです。しかもその額は数百万円の場合も多々ある。
もう一つは、「そもそもきちんと調べていない」状態で、売りに出していること。実際に、上水道は引き込み済み、と広告表記されていて、調べてみると、引き込みされていない、あるいは、使えない。それが後出しジャンケンのようにわかってくる。
不動産会社は仲介業者なので「すみませんでした」「間違っていました」ですみますが、それまでに時間と労力、そしてそれなりの費用をかけて、設計・調査している買主・施工者側はたまったものではありません。多額の損害が生じます。
私たち設計施工の住宅会社からすると、お客様が見つけてきた土地で、不動産仲介業者からの書類や説明を「正」として、調査・検討を始めるわけですが、調べていくと、そもそも聞いていた話が全く違う、過去にごまかしていたりすることが判明したりするわけです。
これは極めて困った問題です。
たまたま、その物件、その不動産会社、ということではなく、ほとんどこのようなケースが当てはまる。業界としての常識・慣行とも言える。
これからの時代、郊外型の分譲住宅地は少なくなっていきますから、基本的には、古家付きなどの古い住宅地の一角を購入して、家を建てるケースが主流になります。ですから、「聞いていたことと違う」ことが取引を具体的に詰めていく中で、出てくることになります。その内容はまさにケースバイケース。土地の売主は認識していない問題が出てくるわけです。
不動産会社の方もきちんと調査した上で、売りに出す、広告する、営業する、客付けする形を取ってくれれば良いのですが、そうはならないのです。現実には、お客さんがついてから調べる、最悪の場合は、土地の契約後に、重要な問題が後から出てくる、、、、
小川の家では、お客様が探してきた土地に対して、お客様が土地の契約をする前に、調査に入り、重要な部分で問題がないかどうか、確認しています。問題が判明すれば、お客様に伝え、不動産会社と協議しています。できる限りのことはやっているのですが、いつ何がどこから飛んでくるかわからない、そもそもの行政の書類が間違っていたり、行政側の仕事に不備があるケースもあり、今後は、あらゆる資料・情報を鵜呑みにせず、ゼロベースで自社で独自調査をすることを前提とすることに、転換しました。
アドバイスとしては下記1点
気に入った土地が見つかった場合、それが開発分譲住宅地以外の場合には、不動産仲介業者さんに「土地の重要事項説明書を見せてもらえますか」と尋ねてみてください。
法律に則ったきちんとした書類一式が揃っていれば、調査をしている証でもありますし、それが準備できていないのであれば、その担当者はその物件に関して、きちんと精査をしていないことになります。
なお、注意点としては、「つべこべ言うなら、他に売る(あなたには売らない)」というスタンスの不動産業者さんが多いので、あんまり要求すると、話自体が壊れます。
小川の家にご依頼いただいたお客様には、土地の取引についても、状況をヒアリングしながら、助言していますが、自分でなんでもやる、という方は、上記を意識しながら交渉されることをお勧めします。まあ、とはいえ、不動産取引の世界ですから、素人が出て行って、太刀打ちできるかというと、トラブルに巻き込まれるか、おかしな物件掴んでしまうだけですので、土地を探す際には、住宅会社を決めてから、一緒に取引を進めていくことをお勧めします。