お金の話

年齢とともに要望は増えるが予算は減る

転職に関して35歳を超えると一気に難しくなる、というデータがありました。
人材難、人材不足と言われる昨今は、この条件は当てはまらないのかもしれませんが、人材難とはいえ、誰でもいいわけではありません。それぞれの職場やポジションで、それなりのスキル水準をクリアしていれば、35歳以上であっても年齢は問題にならないというだけ。

婚期を逃す、という言葉があります。

結婚にも適齢期というのがある。
妊娠出産も同様です。

家づくり、マイホーム購入にも実現しやすい適齢期があります。

実現しやすいというのは、婚期と同様、お互いの条件があまり高くない、要するに、要望と現実の乖離が少ない時期です。

マイホーム購入の場合、年齢とともに、要求、要望は増え、その水準もより高くなっていきます。
私は29歳で自社の建売住宅を自分で購入しました。
今、44歳です。
当時と比べて、年収は増えましたが、今、家を建てるとしたら、子ども3人(中1、小6、小4)の成長と教育費、自分の趣味など、「家を建てるなら」に続く要望、条件は、29歳当時(15年前)の数倍もあります。
年収も数倍になったかというと、そんなことはない。仮に5倍になったとしても、現役でバリバリ働ける残された期間、子ども3人の教育費を考えると、肝心の予算=住宅ローンの返済額に関して、多少は増やすとしても、大幅には無理です。

試算してみると、
29歳、毎月10万円、35年返済、金利2%:住宅ローン3000万円
44歳、毎月15万円、20年返済、金利1%:住宅ローン3200万円

毎月の返済を5万円も増やしたとしても、総予算はたった200万円しか増えない。
消費税の増税と建設費・物価上昇を踏まえると、要望を増やすどころか、15年前よりも減らす必要がある。

収入がそれほど増えなかったとしたら、子どもの教育費、生活費を考えると、住居費を増やすどころか、減らす必要があるかもしれない。

毎月8万円、20年返済の場合、住宅ローン1700万円!
75歳までローンを組む(30年返済)という無茶をしたとして、2400万円!
貯蓄はあるとしても、教育資金で取っておく必要があるから、頭金としてはそんなに使えない。

歳をとった、年収も増えた、要望、要求ははるかに増えた、だけど、総予算=購買力はほとんど増えていないか、減っている。

ご縁というように、マイホーム購入にも、若ければいい、ということではありません。それぞれにタイミングがあります。
40歳で最愛のパートナーに出会うように。45歳で初産するように。
ただ、マイホーム購入に関して言えば、人様の家、マイホームを見て、豪華なモデルハウスなどを見て、それが部分的にはいい(欲しい、あったほうがいいと思う)のは分かりますが、あれもこれもと勧められるままに、自らの欲求を満たそう、後悔したくない、ここまで我慢して積み上げた要望を全て叶えようとすると、何も手に入らなくなる、という正しい知識をインプットしておいた方がよいのではないかと。
それは妥協ではなく、実力。身の丈。良いも悪いもないのです。

いい家づくり、正しい家づくりというのは、妥協の産物ではありません。
自らの人生観、価値観に基づき、過去と現在と未来と足元をしっかりみて、世の中を見渡して、選択/判断していく行為の連続です。

いい家ができた、いい暮らしができた、幸せだ、と感じながら暮らせるかたは、正しい判断をそれぞれの曲面で一つ一つしっかりやってきた、ということです。

要望リストは書かない方がいい。

それよりも大事なことは

大切なものリスト

要望リスト、ほしい物リストとは、悪魔の囁きみたいなものです。
そこに目が行き始めると、必然的に大切なものが見失われてしまう。大切なものだから、本人がそれは当たり前に大切にしているはず、と思っているわけですが、実際にはそうはいかないし、そうはならない。

年齢とともに、要望は増えます。条件も増えます。

自分の要望以上に経済力があるかどうかを確認し、十分な経済力があるのであれば、全てを満たすような家づくりをすればいいと思います。富裕層の方がこだわりの別荘を持つように。こだわりの家という立派な家を建てた家族のように。

私たち小川の家は、富裕層を対象とした家づくりを行なっている住宅会社ではありません。相談時に、資金制約を冷静に算出して、その範囲内でやりましょうね、と。お金にも時間にも物理的な制約がある、そのことをまずは冷静に自覚していただく。

そういう話(説明)をするから、「小川さんは、要望を聞いてもらえないんですか?」と言われてしまうわけですが(苦笑)、経済的に破綻してもいいから、という要望で家を建てる人はいないと思うんですよね。
安全性を犠牲にしてもいいから、職人さんたちに適正な賃金を支払わなくてもいいから、ブラック労働でもいいから、という要望で家を建てる人はいないと思うんですよね。

年齢とともに要望はふえる。見れば見るほど、要求水準は増える。

だからと言って、自らの経済力が増えるわけではない、逆に、ある年齢を境に、予算は減っていく(要望をより減らす)という現実をきちんと理解していただけるよう、私たちは明日もまた嫌われる勇気を持って、世の中にいいことも悪い事もきちんと発信していきたいと思います。

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私が書いています

代表取締役 小川勇人(おがわはやと)

代表取締役 小川勇人おがわはやと

1973年長崎の小さな工務店の長男として生まれる。2000年頃、シックハウス症候群と様々な社会問題が子育ての住環境に起因していることに気づく。以降、子育てを優先した家づくりに徹する。日経ビジネス誌にて「顧客の人生を助ける善い会社」として紹介(2015),著書「暮らしは変えられる」(2008)#妻と二男一女#ウルトラマラソン#登山#MBA(長大大学院,2014)#熊大工学部(1996)#長崎東#福大非常勤講師

暮らしは変えられる 「子育て優先」という選択 小川 勇人  (著) 小川 勇人のFacebook
子育ては、小川の家。