
持ち家か、賃貸か、に決着つける
「家賃を支払い続けるのはもったいない」
これは、マイホームを購入する動機のひとつです。
家賃の支払いというのは、
住居スペースの利用料ですが、
資産形成の観点では、家主の借金返済の肩代わりです。
つまり、家主の財産をつくる実動部隊です。
社宅や公営団地の場合、
家賃が格安だから、得していると考えている方も多いわけですが、
愛する家族の生命と財産を守り委ねる拠点を
他人の判断に全面依拠していることに変わりない。
社宅や官舎の場合、病気やリストラにより退職を迫られた場合、
失業するは、住居は失うは、と路頭に迷うリスクの高い状況で生活していることになる。
公営住宅の場合でも、行政の財政事情や首長の方針で、
退去勧告されるリスクは常についてまわります。
若いうちは、働き盛りのうちは、退去勧告を受けても、
引越すだけのパワーがある。
しかし、これが60歳、70歳、となってくると、
30代、40代、50代の前提(経済力や信用力)とは
根本からちがいますので、そう簡単にはいきません。
マイホームを購入する方の多くは、65歳前後までに、
住宅ローン返済を終わらせるように計画を立てますし、
繰上げ返済など、今後20年~30年の家計と資産形成を考え、実践していきます。
一方、30代、40代でマイホームを検討しても、
結局、決断できなかった家庭はどうなるかというと、
30年、40年後、70歳、80歳になっても、
毎月数万円の家賃負担から逃れることは出来ない。
より安い家賃を求めて、転居するとなると、
より劣悪な住環境で、晩年を迎えることになる。
これは現役時代における「稼ぎの差」ではなく、「選択」の結果です。
現在、築30年のアパートに済んでいるとします。家賃5万円。
30年後、築60年のアパートに、
年金から家賃5万円で済み続けることは不可能に近い。
マイホームへの要望の中には
「いまの住居よりも便利なところ」という条件はよくあります。
今の住居が客観的に見て不便なところであれば、
その要望を叶えることは可能ですが、
もともと利便性重視で選んだ場所に、
多額の自己資金や援助金もなしで、
現在と同じ家賃並みの支払いで、
庭のある新築の一軒家を購入することはほぼ不可能に近い。
この客観的現実が理解できないと、どうなるか。
いまのままで不安と不快な日常を続け、路頭に迷うリスクを高め続けるか、
あるいは、調子の良いありもしないセールストークに乗り、、、、となる。
まずは自分の中で、
持ち家か、生涯賃貸か、決着をつけることが大事です。
賃貸は賃貸で、いつでも、どこにでも、転居できるという要素もありますし。
ただ、実際には、東京ならまだしも、それ以外の地方都市で働き、暮らし、子どももいるのであれば、
離婚や転勤などの事由がない限り、隣町への転居ですら、しないと思いますが。