浸水の多くは想定内である〜ハザードマップを確認して、利便性よりも安全な土地に住む〜
災害の度に、全国各地にあるお客様宅のこと、建築中の現場のことが気になります。
気になるだけでは不十分で、被災した場合の対処をあれこれ考え、手を打ちます。
今回の大雨に関して、ヒリヒリしたことが二つあります。
一つは、八代市の建築現場。
球磨川河口付近で氾濫したら浸かる可能性が高い。
もう一つは、相談中の方のご自宅(借家)。こちらは福岡県内で河川のすぐそば。
いずれも氾濫情報が出ました。ハザードマップを確認すると、
(画像はハザードマップのイメージ。相談者の居住エリアではありません)
八代の現場は浸水区域ではない(すぐ近くでも50cm)
福岡のそれはなんと最大5m(変な汗が出ました)
八代の現場は、すぐに全く問題なく工事ができているという連絡が入り、福岡のお客様にもLINEで連絡が取れました。
土地探しおよび詳細調査の際に、警戒区域で建築に関して、法令制限がかかっている場合にはわかるのですが、法令制限がかかっていないからといって、災害のリスクがゼロというわけではありません。特に、河川流域の浸水に関しては、ハザードマップで調べる必要がある。調べるといっても役所のサイトにアクセスすればすぐにわかります。
今回、改めて、工事中に水没したらどうするか、土砂で流されてしまったらどうするか、損害保険の適用云々とは別の問題まで、色々検討しました。それは工事中の方に限ったことではなく、お引き渡しを終えたお客様のお宅に関しても同様です。
結論としては、
小川の家では、建築依頼に際し、ハザードマップにて、浸水1m以内、または、土砂災害の危険性が低い土地のみとさせていただきます。
ハザードマップにて、危険性が高い、あるいは、住宅建築による対策では対処できないと判断した場合、当該土地でのご依頼は断念させて頂きます家族が幸せに暮らせる家、をコミットしている以上、安全な土地に住む、家を建てる、というのは第一条件です。利便性や校区の問題は二の次です。
私たちが建てさせていただいた家で、お客様家族が被災するのは、絶対に避けたいからです。
建築中だけの問題ではなく、50年後、100年後の未来にも、小川の家で暮らしていただけるように設計施工しています。50年後、100年後に、小川の家で暮らしている方が被災するのは絶対に避けたいのです。
安全な土地に住むというのはいちばん大事なことです。
地震台風にどれだけ強いハコをつくっても、水につかる、土砂で流される、これにはなす術がありません。
幸せに暮らせる家を提供することをコミットしている以上、安全第一。利便性の問題は二の次です。
報道では、想定外、という言葉を使いますが、ハザードマップは確認しているのでしょうか?
想定通り、のはずです。
ちなみに、避難所として、近隣の公共施設を指定するわけですが、ご覧の通り、その避難所が浸水地域だったりします。役所は確認しているのでしょうか。
行政機関がハザードマップのど真ん中に存在するのは、どういうことなのでしょうか。移転しましょう。
大学時代の専攻は土木環境工学だったので、地すべりや決壊の映像を見るたびに、理論通りだなあと。土木技術者や土木工学の研究者という専門家は従前からある程度、わかっていて、想定していて、警告しているわけで、想定外ではないんですよね(熊本地震のように2回連続は想定外ですが)。
ちなみに、なぜ浸水1m未満はokなのかというと、1m未満であれば、盛り土や基礎をかさ上げすることで対処できるからです。実際に、昨年の佐賀市内の大雨浸水の時、この50cmの基礎かさ上げにより、床上浸水を免れたので。
少なくともハザードマップがある領域においては、想定外、はあり得ない。何より、想定外、という言葉は、責任ある立場の人間としては、可能な限り、使いたくないのです。
付記:
様々な法令制限により、建築が許可されない地域は多々あります。どこでも好きな場所に好きなものを建築できるわけではないです。危険と判断した地域には再建築を不可にしていく、実際に、そういう地域が長崎には多々あります。