大切なものを大切にするということ
【23歳、独身女性、腎不全発症】
2/21(火)はKさんの工事契約
私はこれまで20年で160組以上のご家族に子育て優先の家づくりを任せていただくための契約を締結してきたわけですが、これほど感慨深いものは後にも先にもないかもしれない。
Kさまから家づくり診断回答が届いたのは確か去年の6月。
A3のヒアリングシートいっぱいに、いろんなことが書いてあった。何度も書き直した跡があり、何度読んでも意味が理解できなかった。正直、これは無理だなあと。ただ、なんとかしたいという切実な思いや状況は伝わってきました。とにかく、事情をよく聞いてみることにした。それからKさん(奥さん)と踏み込んだ、率直なやりとりを数え切れないほどした。いま思えば、家庭と家族の事情、夫婦の人生の過程が私の想像の域をはるかに超えていたわけです。私がまったく知らない、単なる無知なだけだったわけですが。
Kさんの了解を得ているので少し紹介します。
奥様は23歳のとき、突如、体調不良に襲われ、病院へ行くと即入院。病名は腎不全。
その後は、命を紡ぐために、生きるために、治療との戦いが始まります。腹膜透析(自宅)、30歳で腎臓移植。しかし、臓器がウイルスに感染。その後、血液透析へ。37歳、まさかの妊娠。「産みますか?」と医師に聞かれたそうですが「もちろん」と即答。手厚いサポート体制のもと、出産前の2ヶ月間は入院して、お腹の赤ちゃんの分まで毎日7時間の血液透析を経て出産。健康な赤ちゃんの誕生です^^
そして夫婦の生活は一変する。
命がけで産んだ子ども、命がけで生まれてきてくれた子どもを育てたいわけですが、自分が生きるためには週に3〜4回、1日5時間の人工透析が必要で、通院する必要がある。その間、近くに子どもを見てくれる身寄りがいない。住み慣れた北九州からご主人の実家のある鹿児島へ転居することに。ご主人も転職。
ご主人の実家近くへ転居したことで、透析の通院中は、祖父母が子守をしてくれる。とはいえ、自分が生きていくためには、人工透析のために、往復2時間の道のりを週3〜4回、1回5時間の透析を通院で続ける必要がある。子どもと家族と過ごす時間がない。命がけで産んだ、授かって生まれてきてくれた赤ちゃんと家族と少しでも長く過ごしたい。そのためには、在宅透析しかない。家を建てるしかない。そんなとき、健康に暮らせる家を探していたところ、小川の家と出会ったそうです。子どもと家族と少しでも長く一緒にいたい。だから、家を建てたい、心身健康に暮らせる、子育て優先の小川の家に住みたい、子育てしたい。
この契約に至るまで、たくさんの困難がありました。正直、僕も投げ出しそうになったときも多々あったんですけど、依頼をお断りしようと何度も思ったわけです、が、やっぱり、人の命、家族の人生がかかっているわけですから、それを知ってしまうと、やっぱり何としても困っている問題を解決したいわけです。望む暮らしを叶えたい。プロなんで。
結果的に、乗り越えることができたのはKさんの強い意志に尽きると思います。そしてなにより、すごい困難の中で生まれてきた彼女のパワーだと思います。小川の家を引き寄せたのも彼女の生命力、打開力ではないかと思います。
実は、最後の最後の難関というのは在宅透析だったんですね。県、市、水道局、保健所、メーカー、厚労省、最後は環境省まで確認で詰めの協議をしました。2週間ほど前に、画期的な解決方法が見つかって、一気に視界が開けました。
これからまだまだ許認可など、手続きが必要なわけですが、これまで同様、きっと乗り越えると思います。
完成は夏。
Kさん家族の心豊かで健康的な暮らし、幸福な人生の構築に少しは貢献できたのではないかと思っています^^
大切なものは何か。子どもと過ごす日常、家族で過ごせる時間、心身健康に暮らせること。本人の経済力に見合ったもの。大切なもの/ことを叶えるために必要なモノ=住宅を創造して考案して製造して届ける。僕はただただそのシンプルな、本質的な、幸福な人生を構築するために必要な要望を叶えることに注力し続けます。