子育て優先の家づくり

「何が、どの程度」問題なのか。

 東京都内ホテルの小会議室で開催された、小人数限定の「みっちり2日間」の某放談会を受講してきました。この会は、主催者の経験や知識、とらえ方をまさに[放談]するということで、今すぐどうこうという問題解決型セミナーではなく、直接的なメリットがあるということでもありません。ですが今の私にとって、この会の案内文を読むと「不足を補う」機会になりそうな予感がして、2泊3日東京出張で参加しました。

 [放談]でも語られていたのですが、世の中、人それぞれ、その時々、その視野、その思考、その立場など、当事者にとっては、様々な気になる問題が山積しているというのが現代社会のような気がします。

 当事者にとっての問題やその意識、認識、影響範囲というのは、時代・国家・社会・組織・年齢・性別が同じであっても、それ以外の人=住む世界、生きる世界、価値観が違う人にとっては「大した問題ではない」ということも意外と多い。というか、「それって、何が問題なの?」ということも結構ある。

 やたらと細々した社会では、大局観がますます重要になってくると思います。細胞分裂のように、際限なく細分化されていく私たちが生きる目の前の社会の重箱の隅をつつき始めたらきりがないし、そもそも所詮、重箱の隅であり、その問題など結局のところ「問題ではない」場合も多いのではないでしょうか。

 にもかかわらず、現代人の性格なのか性質なのか体質なのか、重箱の隅が気になる人が多く、それに振り回されてしまいがちで、そこに目やエネルギーを奪われ、時に「大切な所を見失う」事も多くなっているのではないでしょうか。

例えば、建物に関して、分かりやすい事例を紹介すると

○寒い・・・断熱材の充填が甘かったのではないか?

→いやいや、Tシャツ一枚じゃ、寒いでしょ。もう一枚、羽織りましょう(笑)

○暑い・・・窓の数やサイズ・配置が悪いのでは?

→いやいや、エアコン使いましょうよ(笑)

※自然素材の家=エアコン不要というのは、誤解です(笑)。窓を開けても不快であれば、迷わずエアコン使いましょう!珪藻土や無垢材は調湿効果はあるが、それにも限度がありますし、気温を下げることはできない。

 逆に、どの程度危険かも定かでない一食材の安全性に関しては、あり得ないほど要求レベルが高く「絶対に口にしない」と過敏だが、いつ倒れてもおかしくない老朽化したアパートや社宅を「家賃が安い」という理由で、リストラの不安を抱えながらも「安心して永住できる」と判断・選択し、平然と暮らす人もいる。

 上述したのは、ちょっとした事例にすぎないのですが、つまるところ、ひとつの物事だけですべての、ありとあらゆる問題を120%解決できるなんてことは不可能なのに、なぜだかある他者や物事に対して「何でも解決してくれる」と思いこんでいるというか、インプットされてしまっている傾向があるのではないでしょうか。他方、不安視してもどうにもならないことに対しても「不安」を口にするのだが、、、

私は、顧客が抱える問題の中で、解決できること、すべきことがある。

と同時に、解決できないこと、すべきでないこともある。


これに加えて顧客から、「小川さん、○○が問題なんですけど、どうしたらよいですか」と尋ねられた時、「○○は、そもそも、問題ではありません。それより××が問題です」と全体をよく見て「何が、どう、どの程度問題なのか」を考え、指摘・解決することが今まで以上に求められるように思います。何でもかんでも同次元で「一緒になって考えましょう」ではプロとして日頃から物事を深く考えていないことの証明になってしまう(笑)

細々して、複雑多岐化して、何が何だか、分かりにくくなってきた時代。

木を見て森を見ずということわざがありますが、葉っぱばかりを見て、木どころか、森の存在すら意識できなくならぬよう、心掛けます。

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私が書いています

代表取締役 小川勇人(おがわはやと)

代表取締役 小川勇人おがわはやと

1973年長崎の小さな工務店の長男として生まれる。2000年頃、シックハウス症候群と様々な社会問題が子育ての住環境に起因していることに気づく。以降、子育てを優先した家づくりに徹する。日経ビジネス誌にて「顧客の人生を助ける善い会社」として紹介(2015),著書「暮らしは変えられる」(2008)#妻と二男一女#ウルトラマラソン#登山#MBA(長大大学院,2014)#熊大工学部(1996)#長崎東#福大非常勤講師

暮らしは変えられる 「子育て優先」という選択 小川 勇人  (著) 小川 勇人のFacebook
子育ては、小川の家。