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なぜ2階リビングなのか〜子供部屋をLDKの隣にするため

なぜ2階リビングなのか。
2階リビングのメリットは何か?

20年以上も質問され、説明し続けていることの一つですが、直観的に「いい!」そして説明して「なるほど!」と伝わる方と、何をどう説明しても「良いのはわかるんですけど」とうん10年後に高齢になって、かつ10数段の緩い手すり付きの階段を上り下りがいきなりできなくなった時に生活できないじゃないかとか、年に何回来るかわからない超高齢のおじいちゃんおばあちゃんが階段を上がれないのはダメじゃないかとか、買い物の袋を二階に持っていくのはハードなワークだ、とか。

今、読んでいる本の中の一冊がこれ。本著を読みながら、あーこういうことか!と気づいた。

変換を施しても相互の関係が普遍の属性を保っている、これが「構造」。

ちょっと難解なんですけど、この写真。魚なんですけど、目と口の位置(関係性)は尺度を変えても同じですよね。

2階リビングのメリットは、L D Kの明るさ、解放感、風通しなどの「心豊かな暮らし」を提供することにあるのですが、もう一つ大事なことがあります。それは家族の気配が伝わること。具体的には子供の様子がわかること、子供にとっては親の様子がわかることです。子供部屋をLDKの隣に配置するため、です。親子のコミュニケーションのためです。


奥が子供部屋。気配が伝わる家で幼少期から過ごすと、成長の過程であれこれあっても、付かず離れずの距離感で成長していく。

それが核心、本質的な要素なのです。それを直観的にいいな、とわかってくださる方とそうではない方がいらっしゃる。その背景には、子供とのコミュニケーションをどう考えているか、どうありたいか、という子育て観の違いがあります

変換を施しても相互の関係が普遍の属性を保っている、これが「構造」。

子育ての家の世界観、約束する暮らしを叶えるために、リビングを2階に配置しています。理由と目的は、このLDKと子供部屋との関係性を保つためです。つまり、子育ての家の構造ですね。1階リビングに対応しないのはなぜか?と問われたら、この構造が変わるからです。

目と鼻と口の位置関係は同じですよね。これを鼻と口の関係性(位置)を変えたり、どちらかを取り除いたりすると、構造が変わる。つまりそれは例えば、人間ではなく、鳥になるとか。車がバイクになるとか。構造が変わるとはそういうことなんだと。

車をバイクに、というのは誰でもわかることですが、家の間取りづくりやその変更は、安易な物事、思考の積み重ねだったりします(自由設計とは、根幹となる設計思想や理念、哲学がないという構造)

1階リビングだと子供部屋は2階になります。リビング階段というのが以前、注目されましたが、一度通って部屋に入ってしまえば、親子の関係性は断絶されます。それがお互いにとって望ましいという短期的な部分もありますが、親子の関係性、子供を見守り、育てるという長期的、本質的な部分で考えると、やはりコミュニケーションの断絶構造が続くのは好ましくない(なんらかの他の方法でカバーが必要になる。カバーできればよいが、できなければ辛い)

平屋ならどうなのか。マンションと同じですから、通路を通って部屋に入ってしまえば、個室化され、やはりコミュニケーション、つながりは切れてしまいます。そもそも繋がりたくないと思えばそれが最適ですが。

家を建てる前、マンションを購入する前の、アパートの時の方が狭かったけど、親子のコミュニケーションは取れていた、という夫婦や家庭はよくあります。

子育ての家の「構造」という観点で見ると「庭の森化」も私たちの世界観をつくる構造の一部です。世界観というのは、切り取って作られるわけではなく、一体(組み合わせ、構造)で成立します。つくっている私たちからすると、構造がわかっているから、構造から作っているので、どこがポイントかわかるのですが、受け手からすると、それがなくても、世界観は手に入ると思う(錯覚)。柱1本を抜いても建物は倒壊しないという柱もあれば、その柱1本を抜いたら、建物が倒壊してしまう、そういう柱もあるのです。技術的には構造上重要な柱となる。

昨日、福岡モデルハウスの森化でした。

森化をするかしないかで、まったく異なるのがよくわかります。ウッドデッキも同様です。子育ての家が約束する暮らし、世界観を実現させるための「構造」があり、私は創業者でもあるので、ここが構造的に大事なポイントというのがわかります。子育て優先という概念の構造も同様です。死守する。
玄関までのアプローチ。この形状も構造ですし、素材選びも構造です。レンガやタイルひとつとっても、これは使わない(構造が変わる=世界観が変わる=約束する価値が届けられない)となるのです。

家づくり、マイホーム購入の過程においては、あれこれ変更可能か、対応可能か、ご相談や問い合わせがあります。選択肢を考慮して、選択して判断しないといけない。それは結局のところ、構造に関わる部分だとNGだし、縮尺の問題なら対応できる。

私たちが掲げているものは世の中に約束しているものです。その人に対して個別に約束しているものではなく、会社として社会に約束しているものです。それは守らなければならない。掲げているものとは会社の存在意義、目的になる。それを守れない、守らないのであれば、掲げなければよいか、守れるもの、守るものを掲げればよい。相談者やお客さまは当社が会社として社会に掲げているもの、約束しているものを見て、判断して、お問合せ、ご依頼してくださっているわけです。個別対応とは、構造に対してどうか、ということになります。それはいわゆる「ブランド」でもある。

私は最初から子育ての家の構造ができていたわけではないですし、実際につくりながら、試行錯誤、苦悩しながら、抑えるべきポイントがわかってきたように感じます。デザインや素材、サービスの内容は変化しても、骨格の構造は変わっていないです。磨きをかけ、進化、進歩している。

子供の自殺は過去最悪の人数です。自殺は最悪の不幸な現実ですが、少子化で子供の数が少ない時代に、それだけ多くの子どもたちが命を絶っている事実があり、その数十倍、数百倍の子供たちが生きづらさを感じて生きている。どんな家に住んでいたのだろうか、住まいの周辺の環境はどうだったのか、非常に気になります。外の世界が生きづらくても、家に帰ると居場所がある。親子、家族とのコミュニケーションの場がある。家の中だけでなく、ご近所にもそれが自然とある。コミュニティがある。家とは子どもが育つ場ですし、人間を育てる場であり、人格を形成する場であり、何より子どもが生きる場所ですから、幼少期から親子、家族に見守られる環境を、孤立しない環境をこれからもつくり続けていきます。

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私が書いています

代表取締役 小川勇人(おがわはやと)

代表取締役 小川勇人おがわはやと

1973年長崎の小さな工務店の長男として生まれる。2000年頃、シックハウス症候群と様々な社会問題が子育ての住環境に起因していることに気づく。以降、子育てを優先した家づくりに徹する。日経ビジネス誌にて「顧客の人生を助ける善い会社」として紹介(2015),著書「暮らしは変えられる」(2008)#妻と二男一女#ウルトラマラソン#登山#MBA(長大大学院,2014)#熊大工学部(1996)#長崎東#福大非常勤講師

暮らしは変えられる 「子育て優先」という選択 小川 勇人  (著) 小川 勇人のFacebook
子育ては、小川の家。