子育て優先の家づくり

子どもに与える衣食住ーよい住環境を与えるためには犠牲が伴う

赤ちゃんを抱っこしたお父さんの右手にはタバコが。

くわえ煙草で運転中の女性の後部座席にはチャイルドシートに赤ちゃんが。

私にはありえないけれど、その父親、母親にとっては、それが子どもに与える環境なんですよね。

衣類に関しては、高級品である必要はないし、赤ちゃんの肌着にはできるだけ肌に優しいものを選ぶ。食べさせるものには細心の注意を払う。けれど、赤ちゃんからハイハイへ、つかまり立ちへ、歩き始めて、歌って踊り始めるこの貴重な成長期に、どんな空気を吸わせるか、どんな環境で育てるか、という「住」に関しては、関心が低い人が多いです。

子育ての家って、エコで、ヘルシーで、セーフティで、コミュニケーションで、ナチュラルで、オーガニックで、コスパの塊なんですけど、食や衣、教育では、そういう意識がある人たちでも、住に関しては、真逆のチョイスをする人が多いです。なぜそうなるのか、私にはわからないです。「つながらない」のです。

子育てと住環境がつながらない、リンクしない、のです。

それってなぜそうなのかというと、単純に、広告力の問題なんですよね。どれだけ広告しているか、それが社会のトレンド、価値観のトレンドになるだけです。

子育ての家を広告するのは、子育てにとって住まいが大切です、特に幼少期の子育てにとっては、母親と子供の心身の健康にとってはものすごく大切です、という広告(情報発信)するのは、日本で小川の家(私)ぐらいしかない。

これがもし、ライザップのように「子育てにコミットする」みたいな、年間100億円ぐらい広告費にお金を使うようになれば、変わるだろう。

都心に暮らす、みたいなマンションの広告費が、子育ての家、をいろんな住宅会社が広告して競い合うようになれば、変わってくるでしょう。

で、衣食と住の決定的な違いというのがあって、それは親が自分自身のライフスタイルを変える必要があるかどうか、なんですよね。お金で解決するかどうか、の違いなんですよね。

食べるもの、着るもの、って、ちょっと意識してお金をかければ、ベースの暮らしは変えなくても、つまり、ノー犠牲で手に入ります。

ところが、「住」の場合、子どものために空気が綺麗なところ、安全安心して遊べるところに行こうとすると「引っ越し」が伴います。ほとんどの場合、「不便」も付いてきます。さらに、庭のある木の家、となると、賃貸ではない存在しないので、マイホームとして購入する、住宅ローンまでセットになってきます。子育ての問題ではなく、人生の問題になってくる。住宅ローンを借りるとなると、内緒にしておきたい問題まで表に出てきます。

通勤時間や距離が長くなること、多少不便になることを「犠牲」と捉える人もいる。とはいえ、それだけ重要だからこそ、子どもに与えることができたときのパワーというのはすごいですよ。家族に与えるパワーというのはすごいですよ。投入したエネルギー分以上に、パワーを、長期間にわたってもらえます。食事も気にしなくて済むし、適当な教育であっても、ベースがしっかりしていると、長期的に見ればグイグイ行きます。

もちろん、どんな環境でも人間は育ちます。放っておいても育ちます。でも、それを言い始めれば、冒頭のようにタバコの煙を吸わせてもいいよね、って話になるし、食事を気にすることも不要だし、ましてや教育も不要になるし習い事などもいらなくなる。それはそれでそういう人生であり子育てなのです。要は、自分はどんな人生を歩みたいかということに尽きる。どんな家庭にしたいのか、どんな子育てをしたいのか。

私は自給自足の生活をしているわけではないですし、するつもりもない(笑)

子どもを本気でのびのび健康に育てたい、自給自足はない、今の職場に通う、そういう要望に応えるための家づくりをやっています。ただ、食と違って、若干、犠牲=差し出す、交換するものが必要になります。それが、住宅ローンという借金だったり、家計の見直しだったり、通勤時間が少し長くなったり、です。部分的に見ればそういう問題です。でも、大きな視点で長期で見れば、笑顔で心身健康に安全安心して経済的に困ることなく、長く暮らせる、という人生が手に入ります。

住まいの問題は必ず解決すべき問題です。今日明日、3年5年は避けることができても、必ず向き合い結論を出さなければならない問題です。子育ては逃げ切れたとしても、老後の住まいの問題は残ります。つまり、避けられない問題です。絶対に避けることができない問題であれば、前向きな解決にした方が良いです。子育て優先の家づくりは、最も前向きな選択であり、判断であり、決断です。

幸せスパイラルですし、貧乏スパイラル、不幸スパイラル、後悔スパイラルを避けることができます。

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私が書いています

代表取締役 小川勇人(おがわはやと)

代表取締役 小川勇人おがわはやと

1973年長崎の小さな工務店の長男として生まれる。2000年頃、シックハウス症候群と様々な社会問題が子育ての住環境に起因していることに気づく。以降、子育てを優先した家づくりに徹する。日経ビジネス誌にて「顧客の人生を助ける善い会社」として紹介(2015),著書「暮らしは変えられる」(2008)#妻と二男一女#ウルトラマラソン#登山#MBA(長大大学院,2014)#熊大工学部(1996)#長崎東#福大非常勤講師

暮らしは変えられる 「子育て優先」という選択 小川 勇人  (著) 小川 勇人のFacebook
子育ては、小川の家。