MY LIFE

夢を持つことを強制されている

一気に読了

私が幼少期の頃は「夢は何か」「やりたいことは何か」「なりたい職業は?」「どんなことに興味があるか」など、学校教育において聞かれたこともなければ、ましてや、それを授業や調査票で周囲に宣言しなければならないということはなかったと思う。少なくとも記憶がない。

私自身、子どもの頃の夢などなく、「子育てにいい家を建てる会社をつくって日本の子育ての住環境を良くしたい」なんて、夢を持ってこの事業を始めたわけでもなく、今でも特に夢などない。目の前のことを毎日一生懸命やるだけで、周囲と比べるとしたら、いちいち立ち止まって考える習慣がある程度。そこで疑問に思ったことや、おかしいと思ったこと、何よりイヤだな、という苦い経験はその後の人生では二度と御免と思って、違う道、別の方法を考案して生きていることぐらいです。

3人の父親として、子どもたちの学校教育に触れて思う違和感は、幼少期から、やたらと夢を問われすぎること。それを宿題として提出しなければならないこと。そもそも働いたこともない子どもが、なりたい職業を明確に示せる方がおかしな話。なぜなら、そもそも世の中にどんな職業があるのかすら、わからないから。AIの時代で、これから今の仕事の〜割りはなくなる、とか(そんなことはないのに)授業で示しながら、既存の職業から夢を選択しなさい、という。医師や教師、看護師、弁護士、政治家、パン屋さん、ケーキ屋さん、サッカー選手など、50年前も100年も前からあり、これからもある、見える形の職業を望んでいない多くの人にとっては、夢を書け、と言われても、それは苦痛でしかない。そして、先生や保護者がとりあえずホッとするような回答を記入する。

私が「夢の」マイホームを売るという商売のスタイルを拒むのは、こういう夢思想に対する違和感があるからなのだと思う。私はただ毎日笑顔で暮らしたい、子育てしたい、働きたい、そういう人生をただ歩みたい。笑顔で暮らせない、子育てできない原因が、家にあるのがわかったら、それをなんとかしたい。家は道具であり、暮らしと人生の道具の一つに過ぎない。これほど発達した物質豊かな社会で、スマホを子どもまで持っている社会で、かけがえのない人生をたかが道具一つで、ハッピーに生きられないなんて。

本著を読んで、やっぱり私は、夢を売る商売はしない、と決めました。これまで同様、夢(ありもしない、できもしない、背伸びさせすぎる、身の丈オーバー)を宣伝して、営業して、それを憧れさせて、オーバーローンで購入させる、そんなマイホームは、家族の人生を長い目で見て幸福にするとは思えないからです。

逆に言えば、自宅=道具がどうもイマイチで、だからマイホームを求めて動き始めた人にとって、「夢の」マイホームをセールスされると、ひくと思うんですよね。「マイホームって夢でしょ」みたいな。そうなると、その夫婦にとっては、家族が幸せに暮らせる家を手に入れる方法がなくなってしまう。とりあえずの物件を買うことになるか、諦めるか。

「夢」で夫婦を追い詰めるハウスメーカー・住宅業者たち、という一面もあるかもしれないですね。

なので、私が家づくりのご相談でヒアリングするのは、困っていること、解決したいこと、願望と、身の丈、です。夢をヒアリングすることはありません。ですから、’夢の’マイホームを求めている方は、小川の家ではなく他社をオススメしています。

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私が書いています

代表取締役 小川勇人(おがわはやと)

代表取締役 小川勇人おがわはやと

1973年長崎の小さな工務店の長男として生まれる。2000年頃、シックハウス症候群と様々な社会問題が子育ての住環境に起因していることに気づく。以降、子育てを優先した家づくりに徹する。日経ビジネス誌にて「顧客の人生を助ける善い会社」として紹介(2015),著書「暮らしは変えられる」(2008)#妻と二男一女#ウルトラマラソン#登山#MBA(長大大学院,2014)#熊大工学部(1996)#長崎東#福大非常勤講師

暮らしは変えられる 「子育て優先」という選択 小川 勇人  (著) 小川 勇人のFacebook
子育ては、小川の家。