モノではなく価値を売るとはどういうことか〜福岡大学商学部非常勤講師〜
6/25(木)福岡大学商学部「ソーシャル・イノベーション」にてゲスト講師を務めさせて頂きました。
福大商学部の非常勤講師は確か2001年頃からだと思うので、もうすぐ20年になります。
今回、依頼主である田村薫教授からのお題は「モノを売る時代ではなくなってきたと言われているが、価値を売るとはどういうことか、学生に教えて欲しい」という内容。準備期間1週間。何をどう伝えるか、理解してもらえるかはもちろん難しいのですが、さらなるハードルは「オンライン授業」。オンライン講師も初めてですが、受講する学生さんとも面識ゼロ。人間関係の構築ゼロから90分一本勝負。できる限りの準備をして臨みました。
先週の講義で、「家」について、学生さんたちは、実家(またはアパート)の好きなところ、嫌いなところ、良いところ、悪いところなどを上げて、グループで話し合い。その意見や感想について、それぞれの考えを読ませてもらいました。
私の中で「家」とは何か、を問い定義した結論は「道具」。
暮らしと人生の道具。
家族が住む家にとって、重要なことは、その家族が幸せな人生を歩んでいるかどうか、この一点に尽きます。新しいか古いか、かっこいいかダサいか、便利か不便か、資産価値が高いかどうか、広いか狭いか、部屋数か多いか少ないか、それらは一番重要な指標ではなく、大事なことは、家族が幸せな人生を歩んでいるかどうか、これに尽きる。
学生さんには「小川の家が売っているものは何か」と問い、考え、意見を聞く。
一方で、家の話に重点を置いたところで、本題である、モノを売らずに価値を売る、ということを腑に落としてもらえない。自分ごと、自分にとってのリアリズムでわかって、はじめて、その概念の本質が理解でき、応用、転用が効く。
受験勉強、テスト、試験には、正解がある。
「問題」があると、正解が必ずあり、それが一つだけの正解がある、とインプットされている。だけど、実社会では、問題はたくさんあるし、正解はひとつじゃないし、そもそも正解が正解かどうかなんて、誰にもわからない。そもそも問題と言われている問題そのものが問題なのか、という問題がある。
課題発見能力とか問題解決能力とか言われますが、毎日生きていく中で、自分が実際に目にしたもの、触れたもの、自分の判断や行為、その思考のプロセスとその結果を分析していくと、わかってくることが結構あるのではないかと思いますし、そこでわかったことは、案外、それ以外でも応用が効く。
学生さんへの最後の質問はこれ。
大学進学を買う、というものの見方に異論があったりしますが、お金を支払ってその体験、経験を購入していることには変わりない。買う権利を得るために、お金だけじゃなくて応分の学力が必要になるだけで。それはマラソンの大会でも、ある一定の基準をクリアしなければ参加できないのと同じです。
私は教育者でも研究者でもコンサルタントでも講師でもなく、講演業をやっているわけでもない、一人の実務家、事業家です。自分がやっていることを深掘りして、それを伝える場を与えてもらえるのはありがたいです。教えるというレベルではありませんが、伝えることで私の学習・成長機会になります。今回も、内容はもちろん、オンライン授業ということで、さらに鍛えてもらえる機会となりました。