MY LIFE

「杖、いらんけん、パパ使っていいよ」〜10歳の旅,富士山登山②〜

7合目(2,700m)で娘のリクエストに応えて杖を買う。

5合目(2,200m)からの所要時間は90分(休憩入れて)。
コースタイムが休憩別で約2時間だったので、7合目まで90分で行けるかな、と思っていたので予定通り。
悪態と停滞が多々あった割には上出来。ゆっくりあせらず、butモタモタ、ダラダラせず、が大事。

余談:
2年前、次男の時にはここまでがものすごく順調で、もっと早かったものの、逆に、ここから高度が上がり、気温が下がり、風もあり、急に冷えて来て、次男が急激な腹痛に見舞われ、トイレに度々こもる事になった。おそらく汗冷え(トイレの中でフリースを着せた)。心配でトイレの中の様子をみるたびに出たり入ったりしていたら、山小屋の人から「お金をちゃんと払って」と言われ、「いや、僕は使っていないし、息子が中にいるから(もちろん息子の分は支払い済み)」と説明して謝罪したのだ。

富士山では、遮るものがないため、悪天候時に難を逃れるためにはトイレに避難するしかない(山小屋は宿泊者のみ)。が、山小屋が管理しているトイレに避難する人を厳重注意するので、雨風にさらされる事になる(長男の時の苦い経験)。

7合目から上を見上げると、山小屋が点在しているのがよくわかる。次、次、という目標ができ、分かりやすい。
砂利(ずるずるすべる)の坂も終わり、岩場になっていく。

岩場は登りやすいが杖(ポール)は邪魔になる。
で、予想通り来た
「パパ、杖、いらんけん、パパが使っていいよ」
(さっき買ったばかり。だから荷物になるって言ったじゃん、と言うのは堪えた)。

ブツブツ言いながら、8合目(3,020m)を目指す。

高山病にならないよう、水分を少し多めに、こまめに補給させる。山小屋でおにぎりやクリームパンを食べさせ、ガス欠にならないようにする。高度が上がるにつれて、景色がさらに変わっていく。

ふと娘がまた雲海を眺め、遠くを眺め、上にも下にも雲がある景色に対して「神秘的やね~」と。
お、そんな言葉、出るんですねえ。

「パパ、先に行っていいよ、(ななを)待っていたら、汗冷えするやろ」


「いや、先に行っても待っていなきゃいけないから、結局、汗冷えする。休憩は大事だけど、一か所であんまり長く休憩すると体が冷えて、かえってきつくなるよ。それに、早く終わらせて、東京行きたいやろ?」

ニヤッとして、動き出す。
そしてまた数分後には悪態が始まる。

ここから先は「東京、帝国ホテル」で釣るしかない。

「焼印」は各山小屋にある。1か所300円。全部やると時間もお金もかかるから、好きな絵柄だけにした方がいいよ、と杖を買った山小屋の主人が言っていた。たしかに、改めてみると、山小屋ごとに「焼印」のデザインが違う。

娘に地図を見せながら、次は8合目で山小屋は「~」と。あそこで休憩しよう、ここで休憩しよう、5分休憩しよう、を繰り返す。

富士登山競走に向けての練習で
多くのランナーが駆け上がっていく。
僕もウルトラやるので、あいさつして、声を掛け合い、雑談になる。
ウエアと体型と装備を見れば「この人もやってんだろうな、結構」というのは同類だと一目でわかる。アキバ系のにおいと同じようなもの。

8合目(3,100m)を過ぎ、長男のときにお世話になった「元祖室」着。
所要3時間(長男のときは悪天候の中で4時間、やっとついた、死なずにすんだ、涙したことを思い出す)。

本八合目(3,400m)。
山小屋の方が、娘の元気の良さに感心し、驚かれていた。「すごいね」と声をかけて下さった。五合目からの時間を伝えると、さらに驚いていた。大人たちの多くはヘロヘロで座り込んでいるから。たしかに、登り坂を3時間以上も歩き続けているわけだから。
ゴールが見えてくると、がぜんスピードアップ。

娘は体力的にはまったく問題ないし、10歳、富士登山としては、長男、次男と同じだけど、山登りを始めたのは、家族みんな一緒で、娘は3歳からだから、長男、次男よりもはるかに経験積んできているので、やっぱり強い。スイミングでも鍛えられているので、心肺機能も含めてさらに強い。

3,450m ご来光館、その少し先に、ゴール!
その日、日本で、一般人が、自分の足で登れる、最高地点に到達。
5合目から3時間50分。
4時間ぐらいで登れるのではないかと思っていたので、予定通り(それ以上かかるということは何がしかの体調不良に見舞われるということ)

ゲートの前ですが、それがまた風情があります。
雲とガスの切れ間から、山頂が見えた。
ここまでの娘のペースだと、あと30~40分で登頂できただろう。まあ、彼女の人生のどこかで、気が向いたら、自分できたらよい^^

娘の元気さに、周りの人たちは皆さん驚く。

少し下って山小屋の前のベンチでお弁当を食べる(前日、下界のコンビニで購入)

自分で選んだサンドイッチがイマイチらしく


「パパ、食べていいよ」
※僕の鶏そぼろ弁当には興味がないようで、交換しようとは言われなかった。

荷物を整理して、ウエアを軽くして、下山。

富士登山競走の練習ランナー(愛知から)と一緒に、走って下る。

森林限界から森林へ。
雲の上から、雲の中へ。
気温が上がり、湿度が上がり、霧が濃くなり、ガスになり、
喧噪の五合目に。そして雨が降ってきた。


無事に下山。安堵する。

コインロッカーに預けた荷物を整理して、お土産とコーラを買って、レンタカーで下界へ(車の中で娘は即爆睡)。

温泉に入ってサッパリして、いざ、東京へ。

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私が書いています

代表取締役 小川勇人(おがわはやと)

代表取締役 小川勇人おがわはやと

1973年長崎の小さな工務店の長男として生まれる。2000年頃、シックハウス症候群と様々な社会問題が子育ての住環境に起因していることに気づく。以降、子育てを優先した家づくりに徹する。日経ビジネス誌にて「顧客の人生を助ける善い会社」として紹介(2015),著書「暮らしは変えられる」(2008)#妻と二男一女#ウルトラマラソン#登山#MBA(長大大学院,2014)#熊大工学部(1996)#長崎東#福大非常勤講師

暮らしは変えられる 「子育て優先」という選択 小川 勇人  (著) 小川 勇人のFacebook
子育ては、小川の家。