MY LIFE

「パパあ、(明日の富士登山で)死なんよね?」〜10歳の旅,富士山登山①〜

「パパあ、(明日の富士登山で)死なんよね?」

富士吉田口5合目の山小屋「雲上閣」の個室にて、電灯を消してしばらくして、娘が話しかけてきた。怖くなったようだ。

5合目は独特の雰囲気がある。
大型バスから続々と観光客がおりてくる。
殆どが外国人・中国人。狭いスペースが大混雑。霧、ガス、雲、雨、晴れ間が刻々と変化する。5合目とはいえ標高2,350m。富士山は周りに遮るものが一切ない山なので、天候の変化が日本で一番激しい、厳しいと言われている。殆どの人が5合目で写真とお土産を買って、下りていく。

※登山前日の夕食。ラーメン食べたいと言ったので注文。一口食べて、「パパ、交換しよう」と。だから言ったじゃないか。

雲上閣はカプセルホテル。
長男、次男の時には、男性用で隣同士だったけど、娘(小5)はそういうわけにはいかない。予約時に娘のことを伝えると個室があるとのこと(それは助かる)。

で、案内された。

寒い(暖房もない)。布団が薄すぎて、これはいかんと。これじゃ寒すぎるとスタッフに伝えたら、毛布を持ってきてくれた。それでも不十分。

というのも、カプセルの部屋は暖房ガンガンで、布団は羽根布団。予約は閑散としていたので、掛け布団だけでも貸してもらえないかとお願いしてみたが却下。ここの山小屋は暖房がしっかりしていると思っていたので、これは予想外。フリースはもちろん、念のため、ダウンジャケットも持ってきておいてよかった。娘と毛布を工夫してくっついて寝る。これはこれで面白い。

そんなこんなで、落ち着いた頃「死なんよね」と。まあ、死にはしない、大丈夫よ、と。こちらの緊張も伝わっているんだろうなあ。懸念は二つ。天候の激変と高山病。

AM4:30起床
娘を5時過ぎに起こす。二人分の準備は何かと時間がかかる。
登山に不要な荷物はコインロッカーに預けて出発。小雨。幸い、風がない。


※入山!

雲海が美しい。が、30分も経たずに、ブツブツ言い始める。言われることは3つ。足が痛い、きつい、あとどれくらい?6合目でおにぎり。協力金は前日に収めた。ベテランの登山者が協力金のお願いに対して拒んでいた。


※協力金を収めると記念品がもらえる。これをザックやウエアにつけて登る。

ジグザグの砂利で、足元がズルズルする斜面を登り始める。悪態が増えてきて、ペースが上がらない。「先に行ってよ」と(いやいや置いていくわけにはいかないよ)。娘に合わせて登るので、少し止まっただけでも汗冷えする。登山での汗冷えは大敵。腹痛の原因になるから。

娘から「ねえ、(トレッキング)ポールは?」と聞かれる(周りの大人たちがみんな使っている)。
「持ってきてない」
今回は自宅に置いてきた。荷物になるし、久住でも使わなかったから。
「はあ?歩きにくいやろ」
「だって、久住で使わなかったじゃん」
「いや、富士山、いるでしょ」とダメ出しされ、不機嫌になり、さらにペースが落ちる。
山小屋で杖を買おう、ということでなだめる。

7合目、山小屋で杖を買う(荷物になるから買いたくないが仕方がない)。焼印。お菓子やパンを与えて、少し気分が上がる。

子供との登山の大敵は、体力ではなく「飽き」と「ガス欠」である。

「飽き」と「ガス欠」をコントロールすることが一番大事。なので、休憩を最小限にして速攻登山を心がける。

速攻登山のためには子供に荷物を持たせない。これらが、安全な登山にも直結する私の実践知。〜続く〜

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私が書いています

代表取締役 小川勇人(おがわはやと)

代表取締役 小川勇人おがわはやと

1973年長崎の小さな工務店の長男として生まれる。2000年頃、シックハウス症候群と様々な社会問題が子育ての住環境に起因していることに気づく。以降、子育てを優先した家づくりに徹する。日経ビジネス誌にて「顧客の人生を助ける善い会社」として紹介(2015),著書「暮らしは変えられる」(2008)#妻と二男一女#ウルトラマラソン#登山#MBA(長大大学院,2014)#熊大工学部(1996)#長崎東#福大非常勤講師

暮らしは変えられる 「子育て優先」という選択 小川 勇人  (著) 小川 勇人のFacebook
子育ては、小川の家。