小川の家はなぜビニールクロスを使わないのか〜法律やお金の問題ではなく社長の倫理観です〜
小川の家では、すべての住宅において、自然素材が標準仕様です。つまり、室内に使用する建材において、ビニールクロスや合板フローリング、システムキッチンなどの通称、新建材は使っておりません。この方針に大転換したのは2002年です(それ以前は新建材住宅)。以降、一貫して実践しています。
法律という物差しで測れば「新建材住宅でも健康住宅」です。日本では、法律上、シックハウスは存在しません。
他方、実際問題として、頭痛やくしゃみ、目の痛みや充血、においなど、体調に違和感を覚えるような新築、リフォーム済みの住宅・建物が日本からなくなっているかというと、そんなことはありません。室内に使用される建材の化学物質の影響で、具合が悪くなる人はたくさんいらっしゃいます。とはいえ、
体調不良/健康被害を訴えたとしても「法律はクリアしているからあなたの体質の問題だ」となる。
私がシックハウス問題に気づき、認識したのは2000年頃です。
新築の匂いだと思っていたものが有害化学物質の匂いだった。
体調不良に陥る人が増えたことから、社会問題化。法が改正されました。改正点は主に二つ。ひとつは「換気扇をつけましょう(24時間換気の義務化)」。もうひとつは、建材から発生するホルムアルデヒドなどの化学物質の濃度を基準値以下にしましょう、です。いわゆる、F〜という物差しです。
シックハウスの根本的な原因はホルムアルデヒドではなく、化学物質を原材料とした建材を室内に使うことにあります。自然のものではなく、化学物質ベースの材料を使い続ける限り、人間の心身の健康被害はさけられません。
ですから、私は、法の問題ではなく、自身の倫理観の問題で、ビニールクロスなどの新建材を室内に使用することから決別し、自然素材のみを標準仕様とすることに決めました。
なぜなら、自分がつくった家、建てさせてもらった家で、お客様ご家族の誰かが、将来にわたり、健康被害を受けるなんて、ぜったいに嫌だからです。法やお金や売上の問題ではなく、これは私の倫理観の問題です。
売れるからとか、お客様が安くしたいと言っているからとか、(客が病気になったとしても作り手に)法的責任はないからとか、時代のニーズだからとか、おしゃれだからとか、そんなことは私にはいちばん大事なことではありません。比較の次元が違う。きちんとしたものを開発する、製造する、買っていただく、お客様に届ける、それを通じて適正なお金をいただく、これが私の職業というより、人としての倫理観であり、生き方、哲学です。
そもそも単純に考えて、自分が作るもので誰かが犠牲になるなんて、嫌です。たとえば料理人が、自分が提供する食材で、お客様が将来的に体調不良を起こすとわかっていて、売れるからという理由で、やるか、です(やる人はいるでしょうけど、長くは続かないです)。
住宅は長期間利用します。人間が生きていく上での環境要因のひとつになります。その影響は、良くも悪くも蓄積され、麻痺する、させるわけです。
食中毒やアレルギー体質なら、即座に体が拒絶します。有害かどうかすぐにわかります。そうではない場合、じわりじわりと心身の健康を蝕むわけです。健康だった人が、その住宅に住むことで体調不良を引き起こしていく。そんなものを売れるからとか、安くできるからという理由で、つくっていいのか?と。他人がやっているから自分もやっていいとは、私の物差し(倫理、哲学)では、そうはならない。
そんな生き方、経営をやり続けてきたわけですが、だからこそ、おかげさまでこうしてお客様に必要としていただき、事業を継続させて頂けているんだろうな、と。
本著によれば、
この倫理、哲学、価値判断基準のことを「美意識」と評しています。
様々な不正、隠蔽、詐欺の温床は、この美意識の欠如にある
美意識を意識したことはありませんでしたが、日々の物事の判断基準は、美意識に基づいているなあと。
良書でしたし、勇気と希望、論理の支えをもらいました。
自然素材はオプションですか?
とよく尋ねられます。
それは、モデルハウスは自然素材なのに、実際に建てる家はそうではないか、あるいは超高額(手が届かない)という住宅会社、工務店が多いからのようです。
私の美意識に照らせば、
家族の心身の健康はオプションではない。だから標準仕様です。
あわせて、ごく普通の家庭が、買えなければ意味がない。これも私の美意識です。ですから、年収250万円から実現できるよう、創意工夫、試行錯誤に徹して、実現しています。
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