ウルトラマラソン

第1回JALむかつくダブルマラソン大会〜地域活性化の手段としてマラソン大会を利用するということ

6/11(日) 山口県長門市で開催された大会に参加してきました。



ダブルフルマラソン(84.4km)なんとか完走しました^^
レース編は別に投稿するとして、

「地域活性化の手段としてマラソン大会を利用するということ」について

ドラッカーの5つの問いからいくと、マラソン大会の
①ミッションは何か
②顧客は誰か
③顧客価値は何か
④主催者の成果は何か
⑤計画は何か

第1回JALむかつくダブルマラソン大会の種目はW84.4km、シングル42.195km、棚田ウォーク30km。募集は各300名の計1000名弱。
マラソン大会ブームもあり、全国各地、とくに過疎化が激しい地方市町村で経済効果を求めて開催される。昨今は地方創生事業という側面もあり補助金がでる(予算がつく)のだろう。ボラは500名だったとのこと。

「マラソン大会の顧客とは誰か?」
私はランナーだと思います。
「顧客にとっての価値とは何か?」
ランナーにとって大事なものは事前情報として
①飽きないコース
②美味しそうなエイド食
③コースマップ(迷わない、イメージできる)
です。
ウルトラは当大会でも制限時間13時間が示す通り、10時間以上の長丁場。
お腹がすく(笑)食べ物、飲み物ってすごく大事。
わざわざ田舎に行くわけですから、その土地のものを食べたい、飲みたいですよね。期待もする。
今回エイドで振る舞われたものは、オレンジ、バナナ、スーパーの梅干しと大手メーカーのチョコレート、あんぱんです。残念ながら、地元の新鮮な特産品(甘夏、いちご、枇杷、メロン、スイカ)はゼロ。もったいない。エイドで感動したら、ゴール後、買っただろうなあ。ボラの人数はハンパじゃなかったので、絞り立てのジュースとか提供したら、たまらんかっただろうなあ。

コース上に広がる美しい棚田。美味しいお米がとれるのだろう。エイド食での炭水化物は「パンメーカー」のあんぱん。「棚田米のおにぎり」だったら感動しただろう。ゴール後に升売りしたら売れただろう。

漁港をたくさん通った。エイド食に港でとれたアラカブのみそ汁とかあったら、胃に沁みて、塩分も補給できて涙出ただろうなあ。
漁港には氷がたくさんあるのに、なまぬるい水となまぬるいポカリスエットばかりは残念。

超過疎化地域をせっかく1,000名近い人が訪れるのに、しかも、車じゃないわけです、歩いている、走っているわけです。そこで何を振る舞うか。どう触れ合うか。地元にしかないもの、そこで、いましか出せないものがあり、それがまさに「顧客に提供する価値」だと思う。それがまさに強み、差別化要因。

同じ予算を使うにしても、どこかのスーパーが海外から仕入れた商品を大量に購入して、ランナーに提供した所で、地域の経済には何の効果もない。
朝、水揚げされた魚をごっそり買って提供すれば漁師さんも喜ぶ。漁師が刺身でも出せば、感動する。
冷たい飲み物を提供する為に、漁港で氷を大量に買えば、それも地域にお金が循環する。ランナーが語ってくれる伝説の大会になるのに、もったいない。

集落のある場所では、住民の殆どの方が沿道で声援を送って下さっていた。
宣伝カーが巡回していたこともあるが、皆さん穏やかで、素敵だった。農林水産業ですよ、皆さん。
これで、自分たちがつくったものを、主催者がきちんと購入して、ランナーにふるまっていたら、どれほど活気が湧いたことやら。
小中高校生がたくさんボラしてくれていた。彼らも水とポカリを配るだけではなく、おじいちゃんおばあちゃんがつくった米でおにぎり握って、とれた果実のジュースを口にしてくれたよそ者が感動する姿に触れたら、棚田の見え方も祖父母の働きも故郷の見え方も変わったことだろう。

ボラで奮闘してくれるたくさんの素晴らしい人材がいるわけですが、トップリーダー人材の不在が痛い。

極めつけは12時間半、フラフラでゴールした後に待っていた「アンケートへの記入」。強制です(苦笑)
しかも冒頭からはじまったのは
「長門市でいくら使ったか」「どこに泊まったか」「大会前後に観光するか」裏面の最後の方に、マラソン大会のことについての質問があった。誰の、何の為の、大会なのか、よくわかる。

スタートゴール地点から一番近い所にホテルがあり、日帰り入浴できた。
大会前日も利用したが、宿泊しないランナーとわかると、、、ゴール後もまたしかり。
僕なら本意ではなくても「マラソン大会参加者、日帰り入浴歓迎」とでも表に書くなあ。入浴料1,050円を1,000円にするなあ。そしたら、口コミで良い大会だった、となる。家族で食事にでも来ようとか、来年はここに泊まろう、とか。マラソン応援プランで、前日はパワー系の食事、ゴール後は胃にやさしい食事などを考案するなあ。

マラソン大会の目的はなにか。顧客は誰か。顧客価値は何か。顧客本位に徹すれば、本来の目的である経済効果が得られるのに、ビジネスチャッスを放棄するわけだから、もったいないなあと。

定員が非常に少ないので、来年はクリック合戦になるだろう。
せっかくたくさんの方がこの地域を訪れるわけだから、ランナーにとっても地域の方々にとっても経済的に魅力のある大会に進化して欲しいと切に願います。

顧客は誰か。顧客価値とは何か。われわれのミッションは何か。
私がお世話になっている橘湾岸代表:阿部さんのポリシー&口癖である
「ランナーズファースト」
「エイドの充実」
「参加費に見合ったおもてなし」
の真意がよくわかる出稽古となりました^^
自治体に頼らず、広告もせず、スポンサーもなく、口コミだけで、全国から多くのランナーが集う、リピートする理由がよくわかりました。

経営者、事業家として、また、寂れ、崩壊していく建築や住宅、町のさまもじっくりと観察することができ、建築を生業とする私にとって非常に学びの多い大会でした。

「むかつく(向津具)」というのは地名ですが、人がいい、景色がいい、穏やかな町です(そんな町がなぜ過疎化・人口流出するのかという問い)。
前夜、居酒屋さんでは、オープン前にも関わらず、食べさせてくれて、車に泊まるといったら、「うちに泊まりなさいよ」と大将が言ってくれたり^^こういう機会に訪れることができて、よかったです。

いずれにしても、事故なく、大会が無事に終了したことはよかったと思います。
主催者、ボラの皆さんの尽力のおかげです。長時間のボラ、心より感謝御礼申し上げます。とくに、女子高生にニッコリされてサポートされると、おじさん、元気でました^^

筋肉痛も故障もなく、カラダは丈夫になってきたなあと実感しています。
ぼくはやっぱりのんびり食も景色も人との触れないも楽しむマラニック、ウルトラジョガーが好きだな^^


47km地点、千畳敷エイド、美味しかったカレー!

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私が書いています

代表取締役 小川勇人(おがわはやと)

代表取締役 小川勇人おがわはやと

1973年長崎の小さな工務店の長男として生まれる。2000年頃、シックハウス症候群と様々な社会問題が子育ての住環境に起因していることに気づく。以降、子育てを優先した家づくりに徹する。日経ビジネス誌にて「顧客の人生を助ける善い会社」として紹介(2015),著書「暮らしは変えられる」(2008)#妻と二男一女#ウルトラマラソン#登山#MBA(長大大学院,2014)#熊大工学部(1996)#長崎東#福大非常勤講師

暮らしは変えられる 「子育て優先」という選択 小川 勇人  (著) 小川 勇人のFacebook
子育ては、小川の家。