MY LIFE

橘湾岸スーパーマラニックL173km奮闘記③

★飯盛とんの山(139km)9:55着(目標+15分,前回より1時間速い)
24時間経過。おはぎ。急坂を登り、急坂を下る。膝、足に負担がかからないように慎重に進む。速さよりもダメージを最小限にすることを優先。

★じゃがいも畑
絶景。ゴールの小浜がグッと近づいてきた。
距離は5km程だが、延々と続く登りに日陰ゼロ、直射日光と照り返しが半端じゃないこの区間は、走れなくなった僕には永遠に続く長い道のりに思える。
熱中症でノックアウトされそうになったとき、前方からMTBに乗ったガイがきた。Sさんだ!天草からフェリーで口之津へ。そこからコースを逆走して友達を応援にきてくれた。朝メールをもらっていたんです。ホント嬉しい^^

★飯盛経塚(146km)
杏仁豆腐。家族と再会。
※リタイアはしたけど、その後ボラで手伝いをしてくれている方々が何人もいらっしゃって、賑やかだった。皆さんなんだかサッパリしていて、ビールを飲んでいた(もちろん悔しさはある)。勧められたが、僕にはそんな実力はない(笑)

リタイアは伝播する。橘湾岸リタイア会の会長でもある私にとって、大好きで敬愛する大先輩方ですけど「近寄らないでください(笑)」と言ってリスタート。いつも応援してくれて、いろいろ教えてくれる皆さんの分まで、しっかり走りきりたい。

日差しが強くなり、暑さでへばってきた。
FB最後の投稿。150km、暑さで泣きが入ってきた

★有喜(150km)
パイナップル、カステラ、りんごゼリー。氷水に手ぬぐいを濡らして頭に巻くがすぐに乾く。ここから次のエイドまで、危険なゾーン。
予想通り、暑さでペースが落ちる。国道に合流。歩道がないので、ふらつきではねられないように気をつける。ここは6年前、初めての湾岸(S55km)のとき、吐きまくって妻を呼んで水を持ってきてもらった所。

★とれとれ旬や(物産所)
ヤバい感じがして、一旦座って休憩。熱中症。金龍ランナーSさん&Tさん、福岡のTさんは先を行く。5時間ぐらい前後する感じで一緒に進んできたけど、もう追いつけないと思った。焦っても仕方がないし、ここが最後の踏ん張りどころだと思い、最終兵器を投入。自販機でキンキンに冷えたコーラ、いざという時のために大会直前に買って茂木にデポしておいたVESPAのジェル(700円!)、アミノバイタルを投入。胃のことはもうしらん。お店の軒下で休憩したことで少し復活。完走は金で買う!リスタート。

国道を抜け、木陰に入る。急坂で足元も悪い。足裏、膝にくるが、これまた直前に購入して試したニューハレのテーピング(600円)が膝を守ってくれた。完走は金で買う!
唐比手前の資料館でトイレ休憩。3年前もお世話になった。ここはキレイで快適。お腹も気分もスッキリ。

★唐比(157km)13:30着(目標+30分)
家族と再会。このエイドはS・M部門も合流してきて賑やか。ソーメンと角煮飯を2個。ドーピングが効いたのか元気が出てきた。ゴールまでまだ3時間以上かかるので、しっかり食べる。目標より30分遅い。今の走力と残りを考えると目標の30時間切りはほぼ絶望的になってきた。が、諦めるのはまだ早いので、しっかり食べて早々にリスタート。ここからは使い切ることを優先して、歩くよりも走るリズムを増やす。
気がおかしくなるような酷暑の中、足元の悪い海岸線を走る。その距離7km。

★千々石の海岸線
※年配の男性が前方でふらついていた。溝に落ちるか、海に落ちるか、車にはねられるか、という感じ。追いついたので声をかける。「眠くて」と。熱中症とセットの症状。曰く、L部門は初挑戦(S・Mは何度か参加)。このままだと事務局に止められ失格になってしまうので、少し先にプチエイドがあるはずだから、一旦休憩しましょうと(日陰がまったくないので、そこで休ませるわけにはいかない)。関門時間まで余裕があるから、大丈夫ですよ、と。手を貸したり、話しかけながら、ゆっくり歩く(話相手がいると目がさめる)。ボラ班の師匠Kさんに電話して、いつもの(コーセー先生)プチエイドがあるか確認。発見!事情を説明して、車の中で休憩してもらう。一安心^^

※自分のタイムを考えると、先を急いだほうが良いのですが、当たり前ですが、そんなことより、事故や怪我なく一人でも多くのランナーが完走することが大事です。

必死にゴールを目指す姿をみると、こっちも気合入ります。まだまだ自分には余力があるのでとにかく使い切ろうと。少しずつピッチをあげる

この場所は6年前、S55kmでリタイアした42km地点。吐きまくって、吐くものもなくなって、2時間頑張ったけど、力尽きた。ハーフもまともに走れないのに橘湾岸なんて無茶だった。歩いてもたどり着けるなんて若干思っていたけど、そんな甘いもんじゃなかった。何度通っても思い出す。あのとき、リタイアを選択したおかげで、湾岸を完走したくて走り始めた。だから僕にとってはリタイアは次の成長の機会だと思っている。だから、リタイア会を開催するのだ^^

〜覚醒と感謝〜
★千々石(164km)14:45(+35分)

エイド手前でT中さんに追いつく。
「小川さん、ビールどうですか?」
サポートしていた奥様が保冷バックからビールを私に差し出してくれる。有難いが「いやいや(笑)」※ウルトラランナーにはアル中が多いと思う。

エイドの先に金龍ランナーT田さん&Sさんが見えた!俄然気合入ります。目標の30時間(=ゴールタイム16:00)まで、残り10kmをあと1時間15分。絶望的だけど、30時間30分はなんとかしてクリアしたい。エイドでの補給は最小限にして先を急ぐ。
残しておいた最後のジェルを水で薄めて飲む。アミノバイタル、OS1・塩熱タブレットも。これで準備していたものは全て投入。

しばらくしてT田さんたちに追いつき並走する「いやー、きつかったですね。頑張りましたよねえ。Wの練習会やりましょうね」と。そんなとき、後ろからサクサク走ってくる女性がいた。M80kmのT野さん(L173km,T野さんの奥様)。超速い!おおっと話しかけると、ご主人が足を痛めて前の方で歩いている。だから追いつきたいと。なに!深夜あれほど快調だったのに。これが超ウルトラの過酷さか。T野さんはあっという間に見えなくなった。

あと7km。15:10。残り50分。Km7分で49分。信号待ちも入れると、km6分台で走れれば(16時に)間に合う。T野さんは壊れるまで突っ込んだ。僕はまだ使い切っていない。これは行けるところまでやってみようと。T田さんからも先に行ってください、と。スイッチ入れる。気合を入れるために太ももをバンバン叩きながら、少しずつピッチをあげ、歩幅を広げる。「キタサンブラック」状態。バンバン叩いて、心拍があがる。あー、こんなに体が動くんだと。29時間、165kmを超えてやってきましたランナーズハイ&「覚醒」

★富津エイド(168km)
家族と再会。甘夏の果汁を少し飲んでそのまま走る。心拍が上がる。T野さんに追いつく。少し話して、走り出す。時計はもう5時間以上前にバッテリー切れで、スマホで時間を確認しながら走る。「頑張るのはいいけど、これでゴール直前とか直後に倒れちゃったら最悪やな、心臓発作とか」と。倒れては本末転倒と言い聞かせる。とにかくラストスパート。ゴール直前の私の走りを見た方はお分かりの通り、びっくりするほど、体が動きました。


思わず叫んでゴール^^(うるさくてすみませんでした)

「15:57」「29時間57分」
※総合70位(約230名出走中)

僕にとって30時間を切れるかどうかというのは、W273kmを挑戦する上での合格基準みたいなもの。

タイムは目標であり結果でもある。
走る目的ではないが意味もあるし、価値もある。

振り返ると、走り込みを開始すべき年末に、肘を骨折して2ヶ月間走れなくなりましたが、1月はウォーキングで月間220km、八郎岳を何度も登ったことが活きました。

3週間前、ジョギング中に腰痛で走れなくなり、相当焦りました。坂道の練習をしていたら親指がアウトして痛みで力が入らなくなりました。いずれも原因はオーバーワーク。調整期間のスピード練習は断念して、治療とリハビリジョグと疲労抜きに徹した(走れたけど、我慢した)なぜなら、故障や体調不良を抱えて完走できるほど、甘くないのは嫌という程、自分の心と体が記憶しているし、レース中に再発したら間違いなく完走できないから(特に腰)。

今回は、酷暑も雨も寒さも、怪我も脱水も熱中症も下痢や腹痛、いろんな状況を想定して、できる限りの準備をして、いろいろ試して楽しんで、最後に、結果までついてきた、という長い旅でした。これはエントリーを決めてから、スタートラインに立つまでも含めて、です。

それにしても、この過酷なコンディションのなか、猛者が半数近くリタイア(完走率55%!)してしまうなか、最後の最後にこんなに走れるなんて、強くなったなあというか、橘湾岸というこの大会とそこに集う人々に、心も体も強くしてもらっているなあと心から感謝しています。

W273kmの完踏を目指して、準備開始です^^

  • Facebook
  • Twitter
  • はてなブックマーク
  • @LINE

私が書いています

代表取締役 小川勇人(おがわはやと)

代表取締役 小川勇人おがわはやと

1973年長崎の小さな工務店の長男として生まれる。2000年頃、シックハウス症候群と様々な社会問題が子育ての住環境に起因していることに気づく。以降、子育てを優先した家づくりに徹する。日経ビジネス誌にて「顧客の人生を助ける善い会社」として紹介(2015),著書「暮らしは変えられる」(2008)#妻と二男一女#ウルトラマラソン#登山#MBA(長大大学院,2014)#熊大工学部(1996)#長崎東#福大非常勤講師

暮らしは変えられる 「子育て優先」という選択 小川 勇人  (著) 小川 勇人のFacebook
子育ては、小川の家。