「大手だから安心」は神話である
川崎市の介護付き有料老人ホームで相次いだ入所者3名の転落死。
殺人容疑で逮捕された容疑者は
施設の職員だったとのこと。
報道によると運営会社は
介護サービスの大手:メッセージと
積水ハウスの共同出資によって設立された子会社です。
積和サポートシステム
弊社は現在、
デイサービス施設を設計施工させて頂いているわけですが、
事業主は、設立したばかりの小さな会社です。
(もちろん介護/福祉でのキャリアは豊富)
何かを選ぶときに
「大手だから安心」という物差しがあります。
一方で、最初の購買時において、
なぜその大企業が安心だと判断するに至ったのか、といえば、
その商品やサービスを使ってみたからではなく、
「広告宣伝によるもの」が大きい。
知っている、聞いたことがある、
よくテレビで見る、立派である、
だから、安心、安全である、と。
優れた商品やサービスを提供する会社として紹介されたわけではなく、
「膨大な、莫大な広告宣伝費を通じて、
いいイメージをインプットしていく」わけです。
今回の事件は極めて異例だと思いますが、
一方で、この容疑者がこのような行為に至った背景には
その企業の労働環境に原因があることは否めない。
だからといって、
そこにマスコミ報道が踏み込むか?となると、
まさに大手スポンサーだから、それはない。
「犯人は、施設運営する積水ハウスの子会社社員だった」
と大きく報道されることはない。
どんな労働環境だったのかも。
いずれにしても、
安全、安心、快適を売り(大事)にするというより、
そういうもっとも重要なものが
商品やサービスを通じて顧客に提供/担保されない
(日頃から優先されない)ということが
もたらす被害、悲劇というのは
先日の格安ツアーバス事故同様、
とりかえしのつかない事態を生む。
今回の施設と運営会社は
安さ、低価格を売りにしていたわけではありません。
大手だから安心、を売りにしていたのだと思います。
大手にしかできないよさもあるわけですが、
だから大企業になっていくわけですが、
その人、その家族にとって、
何が大事で、そのためには、
どれがよいかという問いの順序が大切であって、
最初から大手(大企業)だからよい、とか
1円でも安くすること、という物差しは
ひとまず忘れた方がよいのではないかと思います。
それにしても、今回の事件、
圧倒的多数の誠実に働く介護福祉関係者にとって、
これほど迷惑な話はないです。
住宅建築においても、
どこぞの手抜き事件を通じて、
世の中すべての同業者が手抜きするかのような
間違ったインプットを普及させてしまいます。
物事は信頼/信用関係で成り立っていますから、
疑いだせばきりがないですし、
それをやったところで、
双方ハッピーになることなどない。
とにかく、
「原発は安全」と同様、
住宅において
「大手だから安全安心」は神話です。